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トゲアカシヤに立つ戦士

ジャクソンの集落を去った日を少しだけ言い忘れたのでお話したい。
別れの朝だった。村に残っていたママ達が数人トゲアカシアの囲いから出てきてくれた。
これでさよならなのかと思うとテレビで見たウルルン滞在記のように一緒に生活した家族と別れるような寂しさが一気にやってきた。
今までに無い悲しさを痛感したのはこの日だった。
走馬灯のように思い出が蘇ってきた。
日本に帰ってしまったらこんなに遠いマサイ村に戻る事などいつかあるのだろうか、その時はママ達やジャクソンは私たちを覚えていてくれるのだろうか?別れはとてもシンプルで振り向いて手を振る事は無いと聞いていた。
別れのクライマックスなどはない、しこりが残らなくてそれもいいかもしれない、感情の起伏は我々のようにはっきりとしていない。
いつも誇り高く自信に満ちているそして穏やかな人種である。
だからマサイ族はケニヤの貴族と表現されているのだろうか?サファリーカーにわずかな荷物をつめてあと少しで埃のナイロビに向って車は走るのだ。硬い握手を交わした、勿論ジャクソンとだが、最後にマサイ族の名前を私に付けてくれないかと真紀さんに伝えてもらった。        
長老4人とママ達で集会を開いて話し合わなければならない。
それには数日かかるので今すぐ名前は与えられないと答えが返ってきた。でもそんなに待てない、今どうにか名前を与えてくれないかと走りかけるサファリーカーを待たせて頼んだ。
ジャクソンはママ達となにやらゴチャゴチャと話をして数分で私の名前が決まった。
「ナラマトウー」と聞いた事のない響きがジャクソンの口から発表された。どんな意味かと聞くと、マサイ族を愛し、マサイ族の文化を尊重する人という意味。
私は経験した事の無い、歴史に残るような出来事のように思えた。
喜びが心の底から湧き上がってきた。
有難うジャクソンそしてママ達。
サファリカーが動き始めた、トゲアカシアの生える道なき道を又来たときと同じく大きく揺れながらジャクソンの村が少しづつ小さくなっていった。
かれらは振り返らないと聞いていたが本当か?小さくなった村をそっと振り返って見てみた。
まだ彼らはトゲアカシアのそばには立っていた、手を振らずに立っていた。ジャクソンの赤い布が緑の木々の隙間から何時までも見えていた。
私はどんな時もジャクソンこそが本物の戦士だったと信じている。
それは永松真紀さん、ジャクソンの第二婦人を私はこの旅を通して知る事になったからである。
一番尊敬している人間はジャクソンときっぱりと応えた彼女、そしてもし生まれ変わったら何になりたいとジャクソンに質問したら迷いも無くマサイ族と応えた人間だ。
彼らには迷いはありえないのだ、自分を信じそしてマサイの伝統を大切に守り通しているジャクソンこそマサイ族の中のマサイ族、本物の永遠の戦士なのである。
この森には全てがある、マラリアを治してしまう薬草だってあるのだ。
彼らは幸せなのである。
我々のように迷わせる不必要な物は存在しないのである。
早朝のラシュアワー時に山手線に飛び込む日本人が後を絶たないが、ケニア人にはそれはありえない。
線路が無いからではなく、今を生きる事が大切なのでそんな知恵はもちあわせていない、先進国だけが持つ悪知恵なのかもしれない。
大和魂は既に消滅している。
私は今までそんな男性に夫以外あった事が無いどころか大概の日本人男性に吐き気がするほどである。
いいすぎと思う方があればとことん日本男児と会話たるものを経験してみてほしい。
その時は社交辞令なしの本音でお願いしたい。
だからといってケニア人にケニア魂があるとは断言しない。少なくとも生きる事に必死であることが素晴らしいのである。
貧しくとも何とか根性で生きていくのだ、その力強さはすべてに漲っている。
いい意味でも悪い意味でもそれは共通している。
泥棒が上からも下からもそして横からも襲ってくるナイロビ、これも生きるためである。
それを私が賛同しているわけではない。貧しさに絶え、いつか社会が彼らのために大きく変わることを夢に託し生きているのかもしれない。
 豊かな日本に住む日本人に一度自分の生活に満載しているゴミを捨て去り残った自分がどれだけの人間になったか直視してもらいたい。
ナイロビの泥棒を味方しているわけではない。
恵まれているにも関わらずなぜ不幸と感じる人間が多いのか、ホームレス、ニート、フリーター、ワーキングプアー等色々ニックネームが社会層によってあるが私はお勧めしたいアフリカに行き本気で彼らと生きてみることを。
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